看護部長のメッセージ

精神看護の価値を知ってほしい

看護部長 利田

癒しを提供できる病院でありたい
2010年9月、看護部長に就任しました。前任の部長が築いてこられた光愛病院の歴史や看護の方針を大切にしながら、新たな風を取り入れて、今以上に患者さんに喜んでいただける病院づくりを目指したいと思っています。

私がこれまでずっと大切にしてきたのは「癒し」です。看護全てにいえることですが、特に精神科看護の領域では心が休まる環境づくりは重要です。だから、患者さんが入ってこられたらホッとするような空間をつくりたいと思って看護をしてきました。

私はマニュアルが大嫌い。たとえば、患者さんが入院してこられとすぐに病院のルールにあてはめようとして、リースの寝巻を手渡して着替えをすすめる。しかし、不安を持って入院されてきているその人の気持ちを考えれば、いきなり着替えではなく、まずは安心するまで寄り添うことが大切だと思います。
また、ベッドでは眠れないという高齢者も多いものですが「病院はベッドで寝るものだ」と決めつけるのではなく「本当にベッドじゃないとあかんかなぁ?」と考えることをしてほしいと思うのです。

これまでの経験から、人はどんな状態であれ、心は生きていると感じています。私は患者さんと話をするのが大好きで、高齢者の人と話しをしているときが本当に幸せなのですが、ある日、重度の認知症で物事の判別がつかないと思われていた高齢者と、こんなエピソードがありました。私はいつもその人に話しかけながら看護をしていたのですが、3日ほど休みをもらったときのことでした。休み明けで出勤すると「あんた何で長いこと休んでたんや?」といってくれたんです。「え・・・わかってくれてたんや・・・」そう思うと涙が出るほど嬉しかったですね。どんなに認知症が進んでも、心に訴えかければ気持ちは伝わる。そう思った瞬間でした。

これ以外にも、こんな出来事は多々あります。どんな状態でも心は通じるし、患者さんは私たちを見通している。心のない看護では、相手を癒すことなんてできません。そんな気持ちで当院を盛り上げていきたいと思っています。


”光愛丸”の船長を目指して
私はこれまで光愛病院の看護師ではありませんでした。光愛病院の看護部がつくってきた看護を、私の考えで方向転換したいとは思っていません。
私はここに来た時点で、一旦自分自身をクラッシュさせようと考えました。だから今の私はポンコツ車です(笑)。一旦ポンコツになって、光愛病院のいいところを見ながら、自分がこれまで積み重ねてきたことをどこに+アルファしようかと考え、新たな自分をつくっている段階です。

看護部長とは、看護部の舵取りです。看護部は看護師だけで成り立っているのではなく、ワーカーさんの大きな力が必要であり、また、他職種との協働があって初めて患者さまにより良いケアが提供できる。そう考えると、社会を見て、病院全体を見て、目指す方向に進むよう、旗を持って先頭をいくのが看護部長だと思っています。
利田が船長の光愛丸の船出は、もうしばらくしてから・・・。今はそう思っています。急いで浸水してしまっては意味がないので、大海原で、着実に前に進める光愛丸をつくって船出をしたいと思います。

 

私が看護をめざした理由
私が看護師をめざしたのは、両親の姿を見たとき。私の両親は高齢であったことから、両親を受診に連れていく機会がよくあったんです。若い私にとって、病院というのは、出来れば行きたくない場所でした。しかし両親は病院に行く日はいつも以上に早起きをしてウキウキしているんですよね。「なんでや?病院って嫌な場所だろうに、病院では笑顔。家では不満そうな顔してるのに・・・」そう思って母に尋ねると「病院行ったら看護師さんが話し聴いてくれる」「こんな老人にも優しくしてくれて、病院行ったら安心するんや」というんです。
その言葉が衝撃的で、人を笑顔に出来る仕事がしたいと思い、看護の道をめざしました。

昔なので、男性看護師はほとんどおらず、男性看護師は手術室か精神科という時代。私は精神科を選び、両親の笑顔を忘れず、初心を忘れず、いつも患者さんの笑顔をつくりたいと願ってやってきました。

精神科看護は、大きく変化を続けています。社会全体が精神疾患に対する強い偏見を持つ時代を経験した私です。そんな過去を知るものとして、若い看護師に「精神科看護の歩み」を伝えていくのも私の役割だと思います。



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